体調回復を最優先して
「すぐ退職、1年休む」前提で試算

 Aさんの相談文を読むと、メンタル面の調子が極めて良くないことが行間からにじみ出ているように感じられます。

 経済的な面を心配されるのは当然といえますが、お金のために苦しい状況に我慢しながら働き続けても、健康に良いはずがありません。

 体調を最優先させることを考えれば、我慢せずに早期に退職して、ゆっくり休んでからパート勤務を始める方が良いでしょう。今まで頑張って貯めてきた3000万円の金融資産があるからです。それに加えて、失業給付を受けられることも、休養をお勧めする理由の一つです。

 そこで、Aさんがすぐに会社を辞めたケースのキャッシュフローを試算してみましょう。退職後1年間はゆっくり休むとし、1年後の52歳から、相談文に記載のある週3回のパート勤務を始めるとします。

 休んでいる1年間の収入は0円、支出は264万円ですが、Aさんには失業給付があります。ご年齢を考えれば150日分の失業給付金を受け取れるはずです。
 
 給付金額が定かではないため、試算では失業給付金を100万円と仮定します。その場合、年間の収支は164万円(100万円-264万円)の赤字になります。

 また、退職後もAさんには国民健康保険・国民年金の支払いが発生することを忘れてはいけません。その金額を年間25万円とすれば、赤字額は189万円に増えます。保有している金融資産額は3000万円あるため、189万円を取り崩すと2811万円になります。

 52歳からは週3でパート勤務が始まります。Aさんが1日何時間働くことを希望されているのか分からず、「細々と生きていきたい」というご要望には少々多いかもしれませんが、当面の年収は年間100万円とします。

 年間収入100万円、年間支出289万円ですから、年間の赤字額は189万円です。失業給付金での収入分が、仕事での稼ぎにちょうど置き換わっただけで、赤字額は変わりません。

 パート開始後は毎年、この189万円が金融資産額(2811万円)から取り崩されていきます。

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年間189万円の赤字…パート開始後の生活はどうなる?