Q:経口治療薬の開発はどうなっているの?

A:承認された薬は2種類 ゾコーバは継続審議

 塩野義製薬の経口薬「ゾコーバ」の緊急承認が見送られ、継続審議となった。

 軽症から中等症対象の経口薬はすでに2種類、メルクの「ラゲブリオ」とファイザーの「パキロビッドパック(以下パキロビッド)」が承認されている。いずれも抗ウイルス薬で、重症化リスクのある患者が対象だ。

「これら二つの薬はワクチン未接種者を対象に臨床試験が行われており、ラゲブリオは重症化が約30%、パキロビッドは約90%低下するとの結果が出ています。日本では8月23日時点で約64%の人が3回目ワクチン接種を終えており、未接種者対象で重症化30%低下のラゲブリオは、現状に即していないと考えられます。パキロビッドは併用禁忌薬が多く、特にネックなのは最近の腎機能データがないと使えない点。腎機能の数値は採血後すぐに出ないため、発熱外来では、かかりつけ患者以外は使いづらい」(大谷院長)

 ゾコーバは催奇形性リスク(ラゲブリオと同様)、併用禁忌薬の多さ(パキロビッドと同様)があるが、腎機能の検査は不要だ。ワクチン接種者対象の臨床試験で、オミクロン株で深刻な呼吸器症状や発熱に対して有意な改善が見られ、ウイルス減少効果も確認されているという。

「使いやすさ、効果の点からコロナの治療を行っている臨床医のゾコーバへの期待は大きい。今後の展開に注目しています」(同)

Q:後遺症になりたくありません。できることはありますか?

A:無理はしない、鼻うがい、胃酸の逆流を防ぐ

 倦怠感が抜けない、脱毛がある、など、新型コロナウイルスの後遺症(罹患後症状)について、さまざまに報じられている。自分でできることはあるのか。

 国内で先駆けてコロナ後遺症の専門外来を開いたヒラハタクリニック・平畑光一院長は言う。

「後遺症にならない、なっても重症化させないために三つのことを守ってほしい」

 三つとは、「少しでも体がだるくなることは徹底してしない」「鼻うがいをする」「胃酸逆流を防ぐ」。コロナ発症から2カ月間は注意すべきだという。

「ごく軽い労作やストレスが、非常に強い倦怠感へと変わることがある。繰り返すと寝たきりになる恐れもあります。また、コロナ後遺症には慢性上咽頭炎が関係しており、胃酸逆流で悪化する。その対策に鼻うがいや、胃酸逆流を起こさない食生活が有効なのです」(平畑院長)

(ライター・羽根田真智)

AERA 2022年9月5日号より抜粋

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