
何人であれ、最初から立ち入った話など聞けるわけもない。ところがサッカーの話を聞くうち、向こうから個人的な話も開示してくれるのだという。サッカー好き同士ならではの特権かもしれない。時には突拍子もない発言も出るが、金井さんの目はいつも広く、温かく開かれている。
「私は何を見るときでも『人間』を見るみたいなんです。実は私、中高はいわゆる進学校へ進んだのですが落ちこぼれてしまって、『自分には取りえがない』という気持ちをずっと抱えてきました。でもいろいろな経験を積み、30歳を過ぎた頃に『私は人を好きになるのは得意かもしれない』と思うようになりました」
何かの専門家というわけではないと自覚する金井さんだが、「浅く広く担当」としていろいろなことに好奇心全開でぶつかっていく。コロナ禍にぶつかり、ネット取材になった章があったのは残念だったが、そこにも近い将来必ず足を運ぶつもりだという。
「狭い窮屈な場所だけが世界じゃない、もっと広いところがあるのだと、悩んでいた頃の自分に言ってあげたいです」
(ライター・千葉望)
※AERA 2023年1月23日号