
僕だって競技は見たい。でも、そのためには北海道の税金をどうしたって使うことになる。そういう痛い出費をするには、どれだけ効果があって、どれだけ意味があるのかをきちんと考える必要がある。そういう本当のところを見ないで、金儲けだけに奔走する人間が騒いでいるのが今の五輪だと思います。バンクーバーやソルトレークシティーも立候補していますが、どうも、札幌は有力候補らしいですね。なんで国の借金が1千兆円もある日本でやりたがるのか。
僕は先日、「文藝春秋」に「老人よ、電気を消して『貧幸』に戻ろう!」という提言を寄稿しましたが、本当にもう一度原点に戻るべきです。もし札幌で開催するなら、「走れメロス」じゃないけれど、アスリート中心で北海道中を走り回るとか、そういう素朴なやり方をオリジナリティーを持って考え出すべきです。
昔はそれこそスキーの板にも企業のロゴなどをつけてはいけない時代でしたが、今の五輪はそこらじゅうに宣伝文句ばかり。そして電通がこっそり儲けてる。もう商業主義はいいですよ。大会にかかわる人間の精神を変えていかなければいけません。(談)
※週刊朝日 2022年9月2日号