■女性のほうが行動的

 もとはアイドル好き、キャラクター好きなのは、むしろ男性だった印象がある。「オタク」という言葉の生みの親、コラムニストの中森明夫さんは言う。

「そもそもアニメやアイドル好きから大人になっても卒業しないのが、オタクでした。それを先行していたのが男性でした。いつの間にか、女性の推し活に活気が出てきました」

 中森さんは、女性に推し活が広がるきっかけをこう考える。

「2000年代の第1次韓流ブームの頃、女性の間でヨン様ブームが起きました。同時に、韓国カルチャー自体を楽しもうという女性が出てきたと思います。女性同士で、井戸端会議みたいにヨン様や韓国の情報交換をしていました。そのメンタリティーは男性とは違います。さらにSNSもあって、拡散していったのだと思います」

 男性と女性の行動の違いはデータにも出ている。博報堂若者研究所の瀧崎(崎はたつさき/たきざき)絵里香さんは言う。

「今年、2千人超の15~29歳の男女にアンケートを取ったところ、そもそも『推し』という言葉を日常的に使うのは女性66.0%、男性は43.2%と女性のほうが比率が多かった。また、女性のほうが行動的なようで、『推しに関連するグッズや商品を購入する』は女性が60.6%、男性は43.2%。『周囲に推しについて語る、すすめる』などの質問も同様の傾向がありました。女性のほうが推しを起点にリアルの交流や生活を充実させたい、男性のほうが既存の交友関係内・ライフスタイルの中で楽しみたい傾向がありそうです。私自身も、推しのグッズを作成したり、身に着けたり……それをきっかけに周囲との交流を楽しむこともあります」

(編集部・井上有紀子)

AERA 2022年8月29日号