(illustration/小迎裕美子)
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「推し」がいると人生が楽しくなる一方、なかなかオープンには語りづらい──。なんて風潮も今は昔。女性を中心に、SNSでシェアする人が増えているという。AERA 2022年8月29日号より紹介する。

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 最近、「推し活」という言葉をよく聞く。推し(=好きな人、物)を応援する人(=ファン)たちの活況ぶりを伝える記事は数多いものの、登場するのは女性ファンが多い。なぜだろう。

 まずは推し活をする女性の話を聞いてみよう。ある男性アイドル推しの女性(26)は言う。

「以前はアイドル好きって白い目で見られがちだったんですけど、ここ5年くらい推し活が流行(はや)りだしてから生きやすくなりました。『推しはいる?』みたいな会話も普通になりましたね」

■インスタ映えとの相性

 女性が推し活する場所も増えている。今年4月には東京・原宿に日本初と称する「推し活カフェ」が登場し、その後も各地に続々とオープン。記者が行った都内の推し活カフェは、ワッフルにかけるソースの色に「推しのカラー」を選べる。「涙腺崩壊」「崇め奉る」「キュン死」などの文字のアクリルスタンドを借りることも可能だ。スイーツの横に推しの写真や文字スタンドを置く。推し活仲間と思しき女性客たちが話し込んでいた。インスタグラムには、推しの誕生日祝いをする女性たちの写真が投稿されていた。推し活とインスタ映えは相性がいいようだ。

 週末、街を歩くと、マスコットの人形をカバンに付けた女性とすれ違うこともある。

 こうした女性の活発さに男性は──。ウルトラマン好きで、特撮番組の助監督として働く竹内祐一さん(27)は「昔よりは特撮が好きだって言いやすくなった気がしますね」と言いつつ、

「男性がカバンにあからさまなマスコットを付けるのはあんまりないかもしれませんね。僕も(ウルトラマンの)科学特捜隊のバッジをカバンに付けます。だけど、シンプルなデザインなので、ウルトラマン好きじゃないと、それとわからないものですね」

 地下アイドルのライブ会場を訪ねた。女性グループの応援に来た男性(20)は言う。

「リアルな友達には推しがいると言えていません。なんていうか恥ずかしいですね。グッズのTシャツやタオルを持ってるんですけど、家に仕舞っています」

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