「藻類はポテンシャルがあるのに、産業化には至っていません。われわれはそんな藻類の可能性を拡大していきたいと考えています」
そう力強く話すのは、アルガルバイオ(千葉県柏市)代表の木村周さんである。アルガルバイオは、東京大学で約20年間藻類を研究した成果をもとに創業した藻類の研究開発ベンチャーで、藻類株のスクリーニングや培養製法などの技術提供が主な事業だ。
藻類は「食」としてのポテンシャルが高いという。木村さんは、長期的で安定的な食の供給を達成するため、藻類に注目したという。
「野菜の種類は800種ほどですが、藻類は約30万種類あり、産業化されているのは30種程度で未知の分野なのです」
藻類の特徴として農地と競合しない場所で育成することができる。海水の中で生きる藻類もあるし、火山の火口という過酷な地で育つ藻類もある。
「当社は一つの藻類に限って培養しているのではなく、長年の研究から可能性のある藻類株を『藻類ライブラリー』として持っているので、あらゆるニーズに対応でき、世界に類がないですね」
これまで藻類を手がける会社は、1種に特化していた。そのため藻類が産業として拡大しなかった。藻類は3分の1がタンパク質、3分の1が炭水化物、そして3分の1が脂質と栄養バランスもよいという。