木下優樹菜さん(撮影・倉田貴志)
木下優樹菜さん(撮影・倉田貴志)

(噂をしている人たちは)証拠もないのに何をもって『おい朴』とか『韓国帰れ』とか言ってくるのか。恥ずかしい人たちだな、いちいち相手にはしたくないなと思っていました。当時は少女時代やKARA、東方神起といったK-POPもちょうど日本に入り始めていた時期で、韓国文化が好きな人もたくさんいる。『(在日韓国人だったとしても)だから何なの? これが今の時代なんだし、良くない?』と思っていました」

 心境に変化が訪れたのは、YouTubeチャンネルの開設がきっかけだった。

「芸能界時代もInstagramで質問されたりしていましたが、ストーリーに一言二言投稿して済ませるような内容ではないと思っていました。YouTubeであれば、自分の本当の気持ちを表情とともに伝えることができる。チャンネルを始めると決めたときから、このことについてはちゃんと自分の口からお伝えをしたいと考えていました」

 実の姉の勤務先であったタピオカ店の店長に送った恫喝めいたメッセージが発端となり、訴訟に発展したいわゆる「タピオカ騒動」により、芸能界を引退。訴訟の判決が出た翌日、YouTube番組で騒動について涙ながらに謝罪する動画をあげたところ、コメント欄には「演技だ」などと、非難する言葉が殺到した。このことも、背中を押したという。

「涙を流している時の実際の気持ちは、私にしか分かりません。けれど、誰かが誹謗中傷を始めれば、みんながその流れに乗っていってしまうのは、『朴優樹菜』の噂が広まった時と同じでした。それなら、きちんとしたかたちで自分の気持ちを伝えたいなと」

 7月25日には同じく自身のYouTubeチャンネルで、「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」であることも公表し、こちらも大きな反響を呼んだ。通常、芸能人があまり表に出すことのないセンシティブな情報も積極的に発信する理由を、木下さんはこう語る。

「私自身、事務所に所属して、スポンサーつきのCMをやっていて……という立場でしたから、芸能人の皆さんの『言えない』気持ちはすごくよく分かります。今は 事務所のSNS管理も厳しくなっていると聞きますし、なおさら言いづらい状況になってきていると思います。

 でも、風向きが変わってきている部分があるとも感じます。私が芸能界にいた頃はありえませんでしたが、今は例えば、パニック障害であることを公表して仕事を休むことも珍しくはなくなってきています。芸能人であれ、その前に一人の人間ですから、違うことは違うと自分からどんどん言っていった方がいいと思っています」

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「アンチコメント」にも目を通せるようになった