「未完成住宅の引渡し」が横行している理由
「完成後に当初より高い金額を請求される」「ステルス値上げ」に加えて、いまトラブルが多発しているのが、「未完成住宅の引渡し」です。
ここでいう「未完成住宅」とは、電気や水道も通っていて、一応住むことは出来る状態にはなっているものの、「当初の計画100%に達していない」状態で、施主に引き渡されるケースのことです。
例えば、当初の計画では、キッチンに「最新の食器洗浄機」を設置するが、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱で、「最新の食器洗浄機」の納期が2年待ちなどになってしまっている、といったケースが多発しているのです。
そのため、その食器洗浄機が入荷したら、再度取り付ける約束で、未完成にもかかわらず住宅を引き渡してしまう場合があるのです。
あるいは、施主が希望するトイレや、照明器具などの入荷が遅れているので、仮のトイレや照明器具を、一時的に設置した上で、希望商品が入荷したら再度工事する、というケースもあります。
統計がなく、あくまで現場の感覚に過ぎませんが、現在、新築住宅の約10%が、こうした「未完成住宅」のまま引き渡されており、今後も増えていくことが予想されます。
「未完成住宅の引渡し」の場合、トイレや食洗器などをあとから据え付けることになりますが、動作や水漏れなどについてのチェックが甘くなり、トラブルになりやすいのです。
通常の引渡し時には、作業した大工さんのほか、現場監督、販売した住宅メーカーの担当者が、それぞれ時間をおいて念入りに何重ものチェックを行います。
しかし、「未完成住宅の引渡し」の場合、そうした何重ものチェックが行われません。据え付けたその場で問題がなければ、OKとされてしまいがちです。
しかし、特に水回りの場合、つなぎ目などが甘いせいで、時間が経ってから水漏れが発生することも多いのです。
そのため、「未完成住宅の引渡し」はなるべく避けたほうがいいでしょう。
いずれにしても、住宅建設やリフォームは不透明な状況が続きそうです。不測の事態に備えて、費用や期間について余裕をもって計画してください。