いつになく真剣な表情でインタビューに答えるたむら(撮影/中西正男)
いつになく真剣な表情でインタビューに答えるたむら(撮影/中西正男)

 そうなった時に、そんな人間がこの世界におっていいのかと。今やっているお仕事も、もちろん一つ一つ真剣にやらせてもらっているんですけど、僕がよっぽどの不祥事でも起こさない限り、もう少しは使ってもらえる。それは本当にありがたいことなんですけど、それが自分の中では迷いでもあるというか。これでいいのかという。

「楽しんでないヤツがこの仕事をやってたらアカン」。その思いが今回の流れのタネみたいな部分でした。

 50歳で辞めようというのは誰にも相談せずに自分で決めて、決めてからお世話になっている人に少しずつ報告していきました。

 今の思いとしては50歳の誕生日(5月4日)で吉本興業を辞める。そして、吉本を辞めるということは芸人も辞めるということです。芸人の仕事は辞めるけど文化人的にコメンテーターはやるとか、そんなことも全く考えてません。辞めて別のことをする。それが今考えている本心です。

 ただ、一方で、50歳近くになると現実もあるということを思い知りもします。僕が辞めたことによって両親の面倒がみられないとか、自分の子どもを育てるお金が稼げないとなったら「辞められない」となるかもしれない。そうならないための流れを作れるように、今から1年半頑張ろうと思っているし、そうするつもりで動いています。

 こういうことを言うと、辞めないための“保険”みたいに思われるのかもしれません。ただ、そういう意味ではなく、自分がやらないといけないことをないがしろにしてまでやりたいことをやるわけにはいかない。それは一人の大人として今回再認識した部分でもあります。

 19歳で芸人をやろうと思った時は誰のことも考えてませんでした。自分のことだけ。その時ならその判断で良かったんでしょうけど、今は家族もいるし、会社もある。

 そんなことをほったらかしにして自分のやりたいことをやるわけにはいかない。辞めるためにはそれ相応の準備と努力が要ることも当然感じています。

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