■隠元豆(いんげんまめ)
明から日本に豆を伝えた、僧の名前が由来
隠元とは、明(みん)の時代の中国の僧の名前です。1654(承応3)年に来日し、日本に豆を伝え、その豆が隠元豆と呼ばれるようになりました。隠元が伝えたのは藤豆の一種とする説もあり、特に関西では藤豆の別称として隠元豆が用いられています。また、関東に伝えたのが隠元豆で、関西には藤豆を伝えたとする説もあります。
■公孫樹(いちょう)
植樹後、孫の代になってようやく実がなる
ここでの「公」は人のことで、人が植えてから孫の代になって実がなり、食べられるようになる木という意味で、中国では「いちょう」を「公孫樹」と表しました。また、実の形が杏に似ていて殻が白銀なので「銀杏」と表したり、葉の形が鴨の水掻かきに似ていることから「鴨脚樹」と表したりもしました。「鴨脚」は「アフキャク」と発音し、中国を訪れた日本の僧が「ヤーチャウ」と聞き、「イーチャウ」や「イチャウ」に変化して日本に伝わったといわれています。
■無花果(いちじく)
花が無いように見えるため当てられた漢字
「いちじく」は、実の中に花があり、外からは花が無いように見えることから「無花果」と書きます。三文字をまとめて訓読みする熟字訓です。中国では「映日果」と書いて「インジークォ」と読み、それが日本に伝わり「いちじく」に変化したといわれています。また、一日に一つずつ熟すという意味の「一熟(いちじゅく)」が変化したとする説もあります。
■柊(ひいらぎ)
ヒリヒリと痛む意味の「疼ぐ」が変化
柊の葉は、縁がとげのように鋭くとがっていて、触るとヒリヒリとした痛みを感じます。古くはヒリヒリと痛むことを「疼(ひひら)ぐ」といい、その連用形の「ひひらぎ」が語源といいます。漢字では「疼木」とも書きます。「柊」は日本でつくられた国字で、冬に花をつける木という意味で「木」と「冬」を組み合わせたといわれています。