楽しみなのが、今大会で復路準優勝を果たして総合4位に食い込んだ東洋大だ。全10区間中4年生は2人。5区を走った主将の宮下隼人(4年)が抜けるのは痛いが、「花の2区」を区間5位タイで走り抜けた松山和希(2年)が来年も期待でき、その他のメンバーも今年のレースで貴重な経験を積んだ。ここに出雲駅伝5区、全日本駅伝4区で区間賞を獲得しながら箱根は補欠に回ったスーパールーキー・石田洸介(1年)のメンバー入りが、そのまま来年への“上積み”となる。2020年こそ総合10位に沈んだが、昨年までの過去10年間でトップ3以内9回という箱根での勝負強さは今大会も健在。3年連続で5区を走った宮下に代わる“クライマー”の後継者問題が解決されれば、間違いなく優勝争いに加われる。
さらに出雲駅伝覇者の東京国際大も、依然として力があり、期待できるチームだ。今回の箱根では総合5位となったが、全10区間中4年生は1人のみ。「史上最強」と謳われながらコンディション不良で2区で区間5位タイに終わったイェゴン・ヴィンセント(3年)と、3区で日本人エースとしての力を存分に証明して区間賞の走りを見せた丹所健(3年)の2人が、来年は集大成の箱根となる。この2人に加え、1万メートル28分台のタイムを持つ山谷昌也(1区で区間8位)、堀畑佳吾(4区で区間12位)、白井勇佑(不出走)らが好走し、東洋大と同じく5区の山登りを解決できれば、長丁場の箱根でも「2強」に立ち向かえる力は間違いなく持っている。
さらに語るべきは、10年ぶりのシード権を獲得した中央大だ。今大会は1区でエース・吉居大和(2年)が宣言通りの区間賞を区間新の快走で獲得すると、4区・中野翔太(2年)が区間5位、5区・阿部陽樹(1年)も区間6位の力走を披露して往路6位で折り返し。復路でも6区・若林陽大(3年)が勢いよく山を下って区間5位の走りを見せると、8区・中澤雄大(3年)、9区・湯浅仁(2年)が連続区間3位の好走を披露し、最終的に3位・駒澤大に2秒差に迫った。今大会の全10区間中4年生は3人。エントリー16人中3年生以下は11人いるが、そのうち1万メートル28分台の選手が7人と力のあるランナーが揃っている。本戦から出場できる来年の箱根路は、最初からトップ5、あるいはトップ3を目指した戦いができるはずで、古豪復活への期待が否応なく高まる。