王将戦七番勝負が1月9日に始まる。渡辺明王将に藤井聡太が史上最年少五冠をかけて挑む。将棋のタイトル戦で、三冠と四冠が対決するのは史上初めて。歴史的な大勝負となる。AERA 2022年1月3日-1月10日合併号から。
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防衛を目指すのは名人、棋王とあわせ三冠を保持する渡辺明王将(37)。
挑戦者は王位、叡王、棋聖に竜王位を加え、史上最年少四冠を達成したばかりの藤井聡太竜王(19)。
「時代の頂上決戦」と称してなんら過言ではない王将戦七番勝負は年明けの1月から始まる。
例によって藤井が歩んでいくところ、いつでも記録ずくめである。それらをあげていけばキリがないが、なんといっても五冠同時保持を史上最年少で達成できるかが注目ポイントだ。
過去に五冠を同時に保持したのは大山康晴(故人)、中原誠(74)、羽生善治(51)の3人のみ。いずれも一時代を築いた大棋士だ。
将棋のタイトル戦の数は次第に増えてきた。なので過去と現在の棋士を一概に比較することはできない。それでも藤井が史上4人目の五冠のリストに名を連ねれば、大棋士の系譜を継ぐ王者と断言して、どこからも異論は出ないだろう。
羽生は1993年、全七冠の時代に22歳で五冠を達成した。全八冠の現在、藤井がその羽生の記録を更新するのかどうか。
■年少記録は意識しない
これまでの史上最年少王将挑戦者は豊島将之(2010年度当時六段、同20)。藤井の19歳挑戦で記録は更新された。その点について尋ねられた藤井はいつものように回答している。
「年少記録ということに関してはまったく意識はしていない」
記録に興味のない本人の外で話を続けると、もし王将位獲得となれば、それも史上最年少。85年度に中村修(当時六段、同23)が獲得した記録を更新する。2021年刊行された冊子『王将戦70年のあゆみ』に、中村現九段は次のように記している。