前田大然(JFA提供)
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 サッカーJ1横浜F・マリノスからスコットランド1部の名門セルティックに期限付き移籍した日本代表FW前田大然が、人種差別の被害に遭ったことを複数の英メディアが報じた。

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 相手を一瞬で抜き去るスピードを武器に昨年は自身最多の23ゴールをマーク。足元の技術も磨き、点取り屋としての素質を開花させた。川崎フロンターレのFWレアンドロ・ダミアンと共に得点王に。さらなるステップアップを目指してセルティックに移籍した。昨夏にセルティックに加入し、大活躍を見せたFW古橋亨梧と共にゴールハンターとして期待されるが、デビュー前に心無い差別を受けることになった。

 英紙「ザ・サン」によると、前田のウィキペディのアページに何者かが編集を加え、フルネームが偏見的な文言に書き換えられていたという。さらに、前田がセルティックのライバルチームであるレンジャーズに対し、攻撃的な発言をしたとする事実無根の情報や、「彼は犬を食べる」といったコメントが追記されていた。問題となった一連の差別的な書き込みはその後削除されたという。

 スコットランドでは、レンジャーズサポーターが古橋を軽蔑する内容の歌やアジア人に対する差別を意味するジェスチャーを口にしている動画がSNS上で拡散された。レンジャーズは調査に乗り出し、該当のサポーターを特定。永久に入場禁止の処分を組足、所属のサポータークラブの今後のチケット受け取りを禁止することを発表した。

 欧州にかつて在住していたジャーナリストは「残念ながらアジア人に対して差別的に見る人たちは存在します。気になるのは前田に対して『結果を出して見返せ』という声が、日本国内で多いことです。古橋は活躍してセルティックのサポーターから認められましたが、サッカーで結果を出すのと人種差別は別問題です。結果を出したから人種差別がなくなるわけではない。日本人やアジア人を標的にした差別被害が立て続けに起きていることにもっと強い姿勢で抗議するべきです。例えば、差別発言をした当該サポーターの処分だけでなく、勝ち点の剥奪などもペナルティーとして考えないと」と語気を強める。

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