イスラエルのニシム・オトマズキン教授によるAERA dot.コラム「金閣寺を60回訪れたイスラエル人教授の“ニッポン学”」。今回は、イスラエルで開かれたミス・ユニバース世界大会でTOP16に選ばれた、日本代表・渡邉珠理さんとの出会いについて。
【写真】8000冊以上の日本語の漫画があるイスラエルの図書館を訪れた渡邉さん
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今回のミス・ユニバース世界大会は、イスラエル南部の紅海沿岸のリゾート都市エイラートで開催されました。大会には75カ国以上から、美しく才能あふれる女性が参加しました。日本からは渡邉珠理さんがミス・ユニバース日本代表として参加しました。渡邉さんはイスラエル人衣装デザイナーが手掛けた原宿ファッションと着物をイメージしたピンク色の衣装で出場。この衣装が「左前」だったことから日本社会では物議をかもしましたが、最終的にインド代表の21歳のモデル、ハルナーズ・サンドゥさんが2021年ミス・ユニバースに、そして渡邉さんはTOP16に選出されました
そのミス・ユニバース日本代表の渡邉さんが、大会終了後の12月、エルサレムの国立ヘブライ大学を訪問しました。面談した学生たちにとって、彼女のコンテストでの経験と日本社会のジェンダーや女性の美についての彼女の考えを直接聞くとてもいい機会でした。
英語で開催された学生と渡邉さんのQ&Aパネルでしたが、何人かのイスラエル人の学生は日本語で渡邉さんと話をしました。学生たちは、子どもに対する日本社会の受け入れ、女性の社会での役割、そして日本における美の概念の変化など、彼女がどのように考えているのかに興味を持っていました。
渡邉さんはこれらの学生の質問に、子どもを多文化の中で育てたいことや、日本の女性の地位については改善の余地もあること、また現代のミス・ユニバースは以前のような西洋美だけではなく、いろいろな美を肯定していることなどを話してくれました。コンテスト中、彼女はミス・ユニバース中国代表と同室になり、日中両政府の関係の難しさを理由に周囲からはこの配置を心配されたそうですが、中国語のできる彼女は中国代表ととても良い友情関係が築けたそうです(以前イスラエルでもイラク代表とイスラエル代表が仲良くなったことが伝えられたことがあります)。