例えば、3年前に、「スペイン風邪以来、世界中に伝染するウィルスがあります。これはやばいです」と専門家が伝えたとして、その時点で、本気にする人ってどのくらいいただろうか?自分がその国のトップだったとして、経験してないこと、かつ、まだ目の前に形になって表れてないことに対して大きな予算をかけて本気になれるだろうか?

 東日本大震災の前に、あれだけ原発の危険性を叫んでいる人がいても、本当に事故が起きると思って人がどれだけいるだろうか?

 そんな経験をしている日本でしているからこそ、この「ドント・ルック・アップ」を見ていて、他人事に思えないのだ。

 実は僕らの知らないところでこういうことってたくさん起きているんじゃないかと。

 昨年、仕事で伊勢に行ったときに、三重県の超名店の創業の由来を聞くことがあった。それはなんと、江戸時代に起きた富士山の噴火。噴火してから伊勢にお参りする人が増えて、それがきっかけの一つになったと。

 富士山が噴火した事実は知っているけど、その話を聞いて、あらためて「富士山って本当に噴火するんだ」と思った。近く感じた。

 富士山が噴火する可能性があるとこは誰もが知っている。だけど、本当に噴火すると思ってる人って多くはないはず。

 いいことも悪いことも突然起きる。天災も突然起きる。突然起きるかもしれないことに対してどれだけ本気になれるかがとてつもなく大切だと、この映画を見て、思えた。

 ドント・ルック・アップ!

■鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。毎週金曜更新のバブル期入社の50代の部長の悲哀を描く16コマ漫画「ティラノ部長」と毎週水曜更新のラブホラー漫画「お化けと風鈴」の原作を担当し、自身のインスタグラムで公開中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)は発売中。「お化けと風鈴」はLINE漫画でも連載スタート。YOASOBI「ハルカ」の原作「月王子」を書籍化したイラスト小説「ハルカと月の王子様」が好評発売中。長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。作演出を手掛ける舞台「怖い絵」が2022年3月に東京・大阪にて上演。

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?