放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん
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 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、人の心理を考えさせられたある映画について。

【表】首都直下型地震より危ない!破局噴火の可能性はどの地域?

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 Netflixのオリジナル映画「ドント・ルック・アップ」はまさに今見るべき映画だと思う。

 僕の周りでも「あ~、ディカプリオが出てるやつね」と知ってはいるけれど見てない人がいてあまりにももったいないので、本気ですすめている。

 簡単なあらすじで言うと、レオナルド・ディカプリオとジェニファー・ローレンスが扮する天文学者が、地球に衝突する軌道上にある彗星を発見する!近いうちに衝突する。もし衝突したら人類は滅亡すると、2人の天文学者は大統領に直々に会いに行き、報告しようとするのだが……という話。

 物語のジャンルで言うと、ブラックコメディーで。超大事な大統領の役をメリル・ストリープが演じていて、これが最高。

 で、何がおもしろいかと言うと、天文学者が、彗星が衝突して人類が滅亡する可能性があることを、大統領に伝えるのだが、本気にしないのだ。本気にしないどころか、それを次期選挙に利用できないかと考えたり。

 そこで、天文学者はマスコミに伝えるのだが、陰謀論者と思われたり、本気にしてもらえない。

 ここがおもしろく、ここがとてもリアルだなと思うのです。

 確かに、「大きな地震が起きる可能性がある」と言われたら信じるかもしれないが、「彗星が衝突する」と言われても、100%の気持ちで「え?そうなんだ!」と信じられるかと言うと、なかなか信じられないと思う。

 地震は信じるかもしれないけど彗星の衝突は信じない。この差ってなにかと言うと、体験しているかどうかの違いだと思う。

 体験したことは「また起きる」と思う。けど、体験してないことは、なかなか本気にできない。これってかなり怖い事ですよね。

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東日本大震災の前、本当に原発事故が起きると思えたか?