政府関係者によれば、例えば皇位継承問題では、麻生氏は女性天皇の誕生に比較的寛容と見られているという。男系男子継承を強く訴える保守派の代表格である安倍氏には到底、のめる話ではない。

 財政政策でも両氏は交わらない。昨年暮れ、自民党政調に積極財政派の議員でつくる「財政政策検討本部」(本部長・西田昌司政調会長代理)が立ち上がると、最高顧問に安倍氏が就任。財政再建派は対抗して総裁直属組織の「財政健全化推進本部」(本部長・額賀福志郎元財務相)を設置し、最高顧問に麻生氏が就いた。

 もっとも、対立の原因は政策だけではないという観測もある。ある大物財界人はこう読み解く。

「麻生さんはナンバー2とはいえ、8年にわたって14歳年下の安倍氏の日陰に置かれ、おもしろくなかったはず。安倍にできるなら、俺にもという思いもあったはず」

 麻生氏の目的については、こんな証言がある。

「麻生氏は安倍一強下で進んだ自民党議員の劣化、弱体化に危機感を募らせていて、政策と選挙に強い党の再興のため、残りの政治家人生を捧げるつもりです」(麻生氏周辺)

 麻生氏が描く「強い自民党」の姿とは、宏池会系の岸田派・麻生派と谷垣グループの3派を合流させて100人規模の「大宏池会」を結成し、清和政策研究会(安倍派)との2大派閥で「疑似政権交代」をしながら党を運営していくというものだ。麻生氏の晩節は「岸田首相との二人三脚」が鍵とも言える。

 では、その岸田首相は何を狙っているのか? 首相に近い、岸田派のベテラン議員は話す。

「宏池会政権を10年は続けていく。首相がライバルだった林芳正を内閣のナンバー2に据えた真意がそれだ。ただ、ネックは90人を超える安倍派の半分しか人数がいないこと。だから同じ宏池会系の麻生派や谷垣グループと『大宏池会構想』を進めている」

◆大平氏の墓参で「古賀斬り」迫る

 1957(昭和32)年に池田勇人元首相が結成した宏池会は、自民党の派閥で最古の歴史を誇る。戦後日本の復興を担った吉田元首相の流れをくみ、「保守本流」の名門派閥との自負が強い。

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