オミクロン株の電子顕微鏡写真
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 新型コロナウイルスのオミクロン株による感染が、急拡大している。昨年12月22日に国内初の市中感染が確認されると、新規感染者数は1月4日に3カ月ぶりに1千人を超え、14日には2万人を超えた。

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 感染力が非常に強い一方、重症化するリスクが低く、無症状や軽症の人が多いのも特徴だ。防衛医科大学校病院感染対策室長の藤倉雄二准教授は、現場の状況をこう語る。

「デルタ株のときは30~50代の若い人でもひどい肺炎を起こし、呼吸不全の状態で搬送されてくるケースが多かったのですが、今回は肺炎があってもはるかに軽症です。その要因として、オミクロン株は肺では増殖しにくく、鼻からのどまでの上気道で増殖しやすいとする海外の研究データがあります。このため、ウイルスの病原性が下がった可能性も考えられます」

 そのことを裏付ける研究は各国で進んでいる。英保健安全保障庁(UKHSA)はオミクロン株感染者約5万6千人を調査し、入院リスクがデルタ株よりも62%低かったと報告している。

「患者さんの話を聞く限り、普通の風邪の症状と変わらなくなってきています。かつてない規模で感染が広がった場合、これまでと同じように一律に隔離を続けると、かえって社会生活は成り立たなくなってしまう。次に議論すべきは、例えばインフルエンザと比較して重症化率・死亡率が多少高かったとしても、それを社会的に容認できるかどうかの見極めです」(藤倉准教授)

 米国の13日の新規感染者数は約87万人、英国は約10万5千人と日本に比べて桁違いに多いが、ロックダウンのような強い措置は取らずに学校もビジネスも動かしていく方針という。オミクロン株に対しても防御が期待できるワクチンの追加接種が進んでいるからだ。

「アワー・ワールド・イン・データ」によると12日現在、英国の追加接種率は52.9%、米国は23.5%であるのに対し、日本はわずか0.8%。先進国の中では最下位レベルだ。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師がこう指摘する。

新宿・歌舞伎町の繁華街
新宿・歌舞伎町の繁華街

「日本はまたしても緊急事態宣言や、飲食店への時短要請など規制を強化しようとしていますが、効果はありません。コロナは空気感染することがわかっているので、それを防ぐには換気が重要。いま世界で注目されているのは二酸化炭素(CО2)濃度です。米サイエンス誌は、室内のCО2濃度を700~800ppm以下にすることを推奨しています。CО2モニターは1万円以下で買えるので誰でも換気をチェックできます。また、空気清浄機も有効で、感染リスクを低下させます」

 いまや、ウイルスの特性に即した対策こそが必要なのだ。(本誌・亀井洋志)

週刊朝日  2022年1月28日号