前出の保健所のAさんはこう訴える。
「新規感染者の最初の窓口は、保健所です。ですが、キャパシティーが完全にオーバーしているのです。次々に新規感染者の情報が届けられ、患者さんと連絡を取らなければなりません。マニュアルにある通り、個人情報を確認して病状をうかがいます。それぞれ個人差があるので、正直に教えてくれる府民もいれば、『無症状です』とすぐに電話を切ろうという方もいらっしゃる。皆さん不安なので質問もたくさんされます。一人当たりの電話対応に非常に時間がかかるケースが多い。『今、熱が39度近くあります』と急を要するケースもありました。吉村知事は病床使用率の基準ばかりを出されますが、保健所のひっ迫はどうお考えなんでしょうか」
Aさんはここ最近、1週間1度も休めていないという。
「毎日、残業で帰宅するのは夜9時、10時です。小さな子どもが2人いますが、夫や私の母に保育園に迎えに行ってもらい、夕食を用意してもらうなど助けを得て何とかやっている。家に帰ってすぐにシャワーをすると、もう着信やメールが来て対応の相談があります。新規感染者の情報は夜8時を過ぎても保健所に届きます。その場合、当日に連絡するのが難しい。申し訳ないですが、連絡できるマンパワーがありません。私も家に帰ると食事をする気力もないほど、疲れ果てています。今週になって新規感染者が急増しており、残業続きで終電に間に合わなくなると駅まで同僚と走りました。同僚は『そのうちコロナではなく、過労死するんじゃない』と話していた。まん防に移行すれば府民にも危機感が生まれ、新規感染者が減ると思います。なぜ、吉村知事の要請が遅れたのか」
大阪府、労働組合にも保健所に勤務する職員からの相談は多々、寄せられているという。
「以前から大阪府には保健所に府職員の応援を求めていた。実現したのが第5波後半から。今回の第6波では各保健所に最初に3人、今週になってもう3人が追加され、計6人になったが、それでも人手が足りません」(府職員)