「吉村知事はコロナ、第6波に備えて何をしていたのか。保健所を見捨てるのか」
こう疲れた声で話すのは大阪府の保健所の職員、Aさんだ。スマートフォンの画面を見せてもらうと1月17日には夜12時を過ぎても3回の着信が入っている。すべて保健所の業務に関するものだ。
新型コロナウイルス、オミクロン株の感染が全国的に拡大する中、1月1日の新規感染者が70人だった大阪府は、12日には1000人超えの1711人。18日は東京都よりも多い、5395人となり、全国でトップになった。
19日には6101人と過去最多を記録。関西で同日、発表された新規感染者は兵庫が2514人、京都が1202人、和歌山が269人などで過去最多となり、2府4県であわせて1日の感染者数として初めて1万人を超えた。
大阪府の吉村洋文知事は20日、政府に「まん延防止等重点措置」の適用要請を21日にも行う考えを示した。兵庫県の斎藤元彦知事が要請すると聞き、足並みをそろえるという。
すでに東京都など1都12府県に19日、発出されたまん延防止等重点措置について、吉村知事はこれまでこう主張していた。
「大阪はまん延防止等重点措置を要請する基準を病床使用率35%に設定してます。35%に達する時が来れば、国に要請します」
一方、東京都は病床使用率が20%を超えたと首都圏の1都3県で歩調をあわせ、要請を出していた。大阪府の病床使用率は31.3%(19日付)と東京都よりも高い数字となっている。
「大阪の新規陽性者数はまだ伸びるでしょう。人口100万人当たりの新規陽性者数で見たら、大阪は 610人、東京は 371人(17日付)となっています。大阪のコロナ致死率はこの間、全国ワーストで第5波でも全国で唯一、“医療崩壊”を招きましたから心配です。吉村知事には政府から19日付の13都県の重点措置決定のタイミングで申請しないかと打診しましたが、応じなかった。だが、新規感染者が過去最高となり、慌てて申請する方向になりましたが、大阪への宣言は来週以降となるでしょう。後手を踏みましたね」(官邸関係者)