大野雄二さん(撮影/写真部・高橋奈緒)
大野雄二さん(撮影/写真部・高橋奈緒)
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「ルパン三世のテーマ」をはじめ、アニメ第2シリーズから、放送中の「ルパン三世 PART6」(日本テレビ系)に至るまで、一貫して音楽を手掛けるのが作曲家の大野雄二さんだ。80歳を記念したコンサートを前に作曲の裏話などを聞いた。

【「ルパン三世 PART6」はこちら】

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「ルパン三世」シリーズの大きな魅力のひとつは、その音楽にあることは間違いない。

原作:モンキー・パンチ(c)TMS・NTV
原作:モンキー・パンチ(c)TMS・NTV

 1977年のテレビ版第2シリーズから登場した、軽妙でおしゃれなリズムとメロディー、そして「LUPIN THETHIRD」の女性コーラスも印象的な「ルパン三世のテーマ」は、誰もが耳にしたことがあるのではないだろうか。

「一言で言えば、頼まれたからできた曲だね」

 少し冗談めかしながら、大野さんは語り始めた。

「当時、ルパンを担当することになった日本テレビのプロデューサーが石立鉄男さんのドラマやそれ以前にもよく仕事を共にしていた人で、あまり細かい注文もなく、思い切って僕にすべて任せてくれたんだ。仲間と世界を股にかける、ある種“なんでもあり”の、ルパンというキャラクター。そのイメージからメロディーを固めていって、軽快なリズム感を持ったテーマができあがったってわけさ」

 大野さんの作曲法は、「まず鼻歌で」だという。

「作曲が終わるまで、なるべく楽器を使わないというのが僕の理想。おおまかなメロディーができてから、だんだん楽器のアレンジを足していく。なぜなら最初から楽器を使うと、人が歌いづらい音域になったり息継ぎがしづらかったり、難しい歌になることがあるから。ボーカルが入る曲はもっとそう。だから、人が『歌う』ということをあらかじめ意識することで、口ずさみやすくて、長く愛されるメロディーが生まれやすくなるんだ」

 慶応大学在学中からジャズピアニストとして活躍していたが、30代からは作曲活動に専念するようになった。

「あのころ、音楽に対する感じ方が、僕の中で変わってきたような気がしていたんだ。ピアノを弾いていてもなんとなくおもしろくないような。そう感じて作曲家に専念しようと思ったころに、ちょうどルパン三世の仕事を受けることになった」

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