しかし、黙ることなのか。日本で生きるあたしは、自分の国がどういう国でなにを目指しているのか知っておきたい。当たり前のことじゃないか。
敵基地攻撃能力を保有するということは、敵も躊躇(ちゅうちょ)せず、先制攻撃として日本を叩きやすくなるということではないか。やられる前にやっただけ、という口実が作られることにならないか。
国民の犠牲を最小にするためには、絶対に有事を起こさないことであるのは確かだが、そのためには防衛費を上げるしかないのか。その前に外交努力とやらをやるべきだろうが、それは今、やり尽くされているのか。
超少子高齢化の現実とともに、しっかり語られるべきだ。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2023年1月27日号