中国のECサイトで販売されている違法な羽生グッズ
中国のECサイトで販売されている違法な羽生グッズ

 一方で、加熱した人気の“弊害”も出始めている。最近、中国ECサイトでは羽生の違法グッズが多数、取引され始めた。無関係の中国業者や個人によって製造されたこうした商品の多くは、中国ネット通販大手・アリババ傘下のECサイトなどで出品されており、例えばキーホルダーは720円、ハンコは800円、人形は1400円ほどで売られている。さらに手作り感満載の写真を巻きつけただけの加湿器や、自作のフィギュアのようなものまである。肖像権を侵害したこうしたグッズが堂々と取引され、それなりに購入している人もいるようだ。

■羽生の名前が商標登録された!?

 違法グッズだけではない。羽生の名前で勝手に商売しようという不逞(ふてい)の輩も現れている。

「中国の商標権を管轄する国家知識産権局では、すでに『羽生結弦』という名称が2017年~2019年の間に、10件も商標登録申請が行われています。ただし、ほとんどは申請の取り消し措置が取られています。一方、中国での羽生の愛称である『羽生柚子』については、申請が受理されているんです。申請登録を行った中国企業は、飲食店や喫茶店などの商標カテゴリーで登録を行っており、商標の使用期限は2029年までとなっています。北京五輪後に、羽生の名前を冠した飲食店が中国各地で誕生する可能性もあります」(広瀬氏)

 便乗ビジネスにまで発展しそうな勢いだが、ジャーナリストの周来友氏は中国での羽生人気についてこう述べる。

「中国のフィギュアスケート選手はどちらかというとマッチョ系が多く、羽生選手のような色白で繊細そうなタイプの美男子はあまりいないのです。氷上のパフォーマンスはもちろんですが、とにかく『かわいい』と中国の20~40代の女性たちから熱狂的に支持されています。さらに中国政府にとっても、羽生選手が欠かせない“目玉”であることは間違いありません。彼は欧米の有名選手と違ってボイコットや人権問題に関する発言はしていないので、中国政府にとっても“優等生”なのです。五輪を成功させるため、国内外に向けて羽生フィーバーを盛り上げていくのではないでしょうか」

 中国でも大きな影響力を持つ羽生。いよいよ10日後に迫った冬季五輪で、どんな活躍を見せてくれるのか楽しみだ。(山重慶子)

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