NHOの臨時医療施設の設置はこうした流れを受けたものだ。ホームページを見ると、こうした厚労相の要求に対して「2割以上の病床数等を増加させた」として、昨年9月1日時点の2310床から2857床に増えたと成果を強調している。しかし、この増加後の数字には「※東京病院において運営予定の臨時の医療施設80床を含む」とも注意書きがあった。
第6波に向け厚労相の要求は達成したと強調する一方で、実態は、NHOと厚労省の動きは鈍く、結局、臨時医療施設の設置は3月以降にずれこんでいるという。官邸関係者はこう語る。
「本来であれば完成した後や目途がたったあとに上積みされるべき病床の数が、実現できないのに、第6波の備えの成果として計上されている。これは“カラ計上”の批判は免れないです。実際には工事が遅れ、その結果、実際の運用開始はオミクロンの感染がピークアウトした後になる可能性が出てきています。第6波には間に合いそうにないという体たらくです」(官邸関係者)
遅れについて事実なのか、NHOはどういった見解なのか、取材を申し込むと、書面で回答が来た。第6波に備え昨年のうちに設置する予定だったことに関しては
<NHOにおける検討結果を含め各都道府県が策定した体制確保計画等を踏まえて、厚労省が国全体におけるコロナ病床等体制確保について公表したのが昨年12月7日であった>
<開設は、法律の規定に基づき都道府県知事が開設することとなっているため、速やかに東京都と協議を完了させ、年内に臨時医療施設の工事準備に着手した>
<当初から「年内に開設する」との方針を定めたことはなく、「年内に所要の調整を完了させ工事準備に着手した」ものと認識しております>
と見解を述べた。
設置が3月以降に遅れていることの見解については
<昨年12月下旬、NHOは直ちに臨時医療療施の建物建築準備に着手した。できる限り早期に臨時医療施設の建物が完成するよう、業者との契約によりプレハブによる工事を進めている>