ネット上では、品薄状態を作り出すマックの戦略なのではないかという声すらあるが、日本フライドポテト協会の佐藤雄太理事は実情をこう話す。
「北米産のポテトを輸入しているところはどこも在庫状況が厳しい。農場には食物があっても、アメリカではコロナの新規感染者が1日に数十万人も出ており、農産物を運ぶための物流の労働者を確保できないという状況も生まれています。仕入れ先を北米産からヨーロッパ産に切り換えたいという話や中国産や国内産に換えたいという要望も出ています」
それでもなぜ、マックは北米産にこだわるのか。
「マックのフライポテトは1本1本が長いですよね。北米で作られている品種だから、あの長いフライポテトが作れる。そんなじゃがいもは日本では育成が難しいようです」(佐藤理事)
前出の松平氏はこうみる。
「じゃがいもの病気が持ち込まれるリスクがあるので、生のじゃがいもは日本に輸入できないんです。じゃがいもは病気に弱いという側面があります。マックが使っている『ラセットバーバング』という品種は日本では生産がほぼないという状況ですね」
■スシロー、びっくりドンキー…影響広がる
ポテトを巡っては、マックばかりが販売休止に追い込まれたわけではない。
回転寿司チェーン「スシロー」(1月28日現在、629店舗)では、人気のサイドメニューである「山盛りポテトフライ」の販売を休止した。運営会社のFOOD & LIFE COMPANIESによると、「スシロー」のポテトもアメリカ産だ。
「弊社のじゃがいもはアメリカ産を使用しておりますので、輸入遅延による影響です。『山盛りポテトフライ』は1月24日から順次、販売休止しています。100円のフライドポテトは現在販売中ですが、状況を見極めながら今後の販売を判断していきたい」(広報担当者)
ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」(全国338店舗)でも、フライドポテト5商品の販売を1月31日まで一時休止中。運営会社のアレフ(本社・札幌市)は、「当社がヨーロッパから輸入しているポテトについて、新型コロナウィルスの影響による国際物流の混乱と港湾の混雑悪化に伴い、船の入港が大幅に遅延しております」という。