Emmanuel
Emmanuel Todd/1951年生まれ。家族構造や人口動態などのデータで社会を分析し、ソ連崩壊などを予見してきた

 アフガニスタンを支援できるのは、文化的に近く、しかもよい方向に進んでいる国でしょう。たとえばイラン。イランは父系社会で宗教者が支配する体制は批判されています。女性も顔を隠すことを強いられています。

 それでも女性の地位は比較的高い。大学生の数は女性の方が多い。出生率もフランスとあまり変わらない。避妊だってしています。そしてアフガニスタンの隣人です。お手本になる国があるとすればイランです。米国ではありません。

おおの・ひろひと/1955年生まれ。朝日新聞でパリなどの特派員やコラム「日曜に想う」を担当。退社後、長野県安曇野市に移住
おおの・ひろひと/1955年生まれ。朝日新聞でパリなどの特派員やコラム「日曜に想う」を担当。退社後、長野県安曇野市に移住

■男女は仲間同士の意識

──女性の解放には、それぞれの国、社会に合った方法を見つけなければならないとすると、日本の場合は?

 今の日本では、女性の学歴は高くなった。けれど、キャリアか子どもを産むか、が究極の選択になっています。そのため、子どもをつくらない女性の割合が高くなり、低い出生率につながっています。

 日本の問題は、男女間のコミュニケーションの弱さだと思います。抑圧ではないでしょう。必要なのは、男女関係についての文化的な革命です。

 少なくとも、よい解決方法は#MeToo運動ではないということは明らかです。だって、日本の男女関係の問題点がコミュニケーションのまずさだとすれば、男のことを化け物のように非難する対決的なフェミニズム運動は解決策にならない。男性と女性がさらに一歩お互いに近づいて仲間同士だという意識を持たなければ。対決は不要です。

(構成/ジャーナリスト・大野博人)

AERA 2022年1月31日号より抜粋

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