日本のジェンダーギャップは大きく、男性は雇用などで女性よりも有利とされる。しかし最近は「生きづらさ」を抱える男性も増えているという。AERA 2022年1月31日号から。

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男性は職業的責任と家族の扶養を期待されるものの、日本経済は停滞して賃金は上がりづらくなっているのが現状だ
男性は職業的責任と家族の扶養を期待されるものの、日本経済は停滞して賃金は上がりづらくなっているのが現状だ
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 最近は女性よりも男性の方が生きづらくなってきていると思うか──。

 そう問われたら、何と答えるだろうか。日本は世界的にもジェンダーギャップが大きいとされる国だ。世界経済フォーラムが昨年公表した「ジェンダーギャップ指数2021」では日本の男女格差は156カ国中120位で、G7で最も低かった。完全な平等を「1」、完全な不平等を「0」とした総合スコアは0.656。「教育」や「健康」ではほぼ差がない一方で、「経済」は0.604、「政治」は世界でも最低レベルの0.061と評価された。これ以外にも、経済や政治分野のあらゆる指標や統計データが「女性不利」の現状を示している。

 さて、冒頭は電通総研が昨年行った「男らしさに関する意識調査」での質問の一つだ。調査では、男性の全世代で「とてもそう思う」「そう思う」と答えた人が約半数に上った。単純に「男性と女性では男性の方が生きづらいと思うか」などと聞く場合と比べ、肯定的な回答が増えそうな問いではある。それでも、統計をみると明らかに女性不利な現状があるのに、多くの男性も生きづらさを感じている。

■明るい未来描きづらい

 関西大学文学部の多賀太教授(ジェンダー論・男性学)は、男性が感じる「生きづらさ」についてこう話す。

「客観的に男女を比べれば女性の方が生きづらさを感じる場面は多いでしょう。ただ、女性が置かれた状況が徐々に良くなりつつあることは多くの人が共有しています。一方、日本経済の停滞が続き、明るい未来が描きづらくなっている。モヤモヤや生きづらさを感じている人は男女問わず大勢います。男性は雇用や収入で女性よりも有利な分、職業的責任と家族の扶養を期待されますが、プレッシャーに見合う『見返り』を得られると思えず、主観的な生きづらさを感じやすくなっています」

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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