
水道管の事故が多い市区町村も調べた。18年4月に全国で初めて「1県1水道体制」を敷いた「香川県広域水道企業団」がトップで492件。2位は千葉県木更津市や君津市など4市の水道事業を担う「かずさ水道広域連合企業団」(358件)、3位は静岡県藤枝市(300件)だった。
断水や減水の影響が100戸超に及ぶ事故は「香川県広域」で1件、「かずさ」で8件あった。
事故が多い事業者について、法定耐用年数を超える水道管の割合を調べてみた。たとえば1位の「香川県広域」は26.1%(全体の316位)、3位の藤枝市は同23.5%(同400位)。どちらも、法定耐用年数を超えた水道管の割合が全国平均(19.1%)を上回っていた。
一方で、法定耐用年数を超える水道管の割合が高かった三つ(泉北水道企業団、上富田町、砺波広域圏事務組合)の事故件数は、どれもゼロ。古い水道管が多いと事故も多い、とは必ずしも言えないようだ。
とはいえ、フラクタの樋口さんはこう話す。
「今後10年、20年で、水道管の高齢化は今より速いスピードで進み、老朽化に伴うリスクは高くなる。今から対策を始めれば、まだ十分コントロールできる。財源や人材があるうちに、リスクの高いところから重点的に対処していく習慣をつけておくべきです」
◆安全な水が出る 当たり前でない
前出の橋本さんもこう指摘している。
「日本では水道から安全な水が出るのは当たり前だと考えられていて、多くの人が危機感を持っていません。でも、今のままでは厳しい。将来にわたって持続的に運営するには何が必要かを真剣に考えるときです」
ある日突然、水が出ない、なんてことがあっては困る。私たちもふだんから現状に目を向けるべきだろう。(本誌・池田正史)
※週刊朝日 2022年2月4日号