人の心が多少なりともあるのなら、自分や知り合いと関係のないことでも、「どうにかしてくれよ」と切実に感じやしないか。
去年の衆議院選では、野党側は「ジェンダー平等」を選挙のテーマとして挙げた。たしかに女性の賃金は低く、世の中はまだまだ男社会だと思う。だから、そのぶち上げは正しい。しかし、野党を牽引(けんいん)している一部の過激なフェミニストについていけない。仲の良い夫婦のツイッターにいちゃもん、物事を調べもせずに誹謗(ひぼう)中傷、はたまた二次元の絵にまで性的搾取と怒り狂う。過激にならねばならない背景も理解したいと思うが、それでも嫌になってくる。そしてそれが、野党のイメージになりつつある。
野党側は、なぜ困っている人、弱っている人を救いたいとダイレクトに打ち出さないのだろう。それは今、最も困っている女性が真っ先に救われることになるだろうに。どうしてそれじゃダメなのか。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2022年2月11日号