うつ病、統合失調症、不安症といった精神疾患を持つ人の半数は10代半ばまでに発症しており、全体の約75%が20代半ばまでに発症しています。実際にわが子が精神疾患(心の病気)になってしまったとき、親はどう行動すればいいのでしょうか? 学校はやめるべきでしょうか? 精神科医で東京都立松沢病院院長の水野雅文医師が執筆した書籍『心の病気にかかる子どもたち』(朝日新聞出版)から一部抜粋して、Q&A形式でお届けします。<<前編から続く→思春期の子が「心の病気」かもしれないとき親はどうすればいい? 精神科医の答えは>>
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Q 子ども(高校生)が精神疾患になりました。治療が長期間に及び、通学できない日も増えていますが、学校をやめるべきでしょうか?
A 極めて現実的なアドバイスをするなら、すでに高校3年生で卒業間近というなら、在籍したままなんとか卒業を目指したほうがいい。大学は高校と違って自由度が広がるので、だいぶ楽に感じられるはず。大学生になったら途端にストレスが軽減して、「なんで自分はあんなにつまらないことで苦しんだり、鬱鬱(うつうつ)したりしていたんだろう」と思う子はたくさんいます。大学に進学しないにしても高校を卒業さえしてしまえば、長期的に見てお得だと思います。
一方、高校1年生、2年生で卒業までの道のりはまだ長いという場合は、学校をやめることを考えてもいいのではないでしょうか。
10代の子にとって「精神疾患になっていろいろうまくいかない状態なのに卒業まで最短でも2~3年頑張らなくてはならない」という状況は、とてつもなく長い期間に思えるでしょうし、想像以上にきついはず。それでも卒業こそが大事、ガンバレというのはつらすぎます。中退しても、比較的自由度の高い通信制や定時制の高校で学ぶこともできますし、自宅で独学で勉強して高等学校卒業程度認定試験(昔の大検)を受験して大学を目指す方法もあります。お子さんとじっくり話し合ってみましょう。
Q 精神疾患と診断されたわが子をどうサポートしていいかわかりません。