巨人1年目の低迷から、オフに打撃フォームの改造に取り組んだ。スイングをスムーズにすることで直球に打ち負けることなく、詰まった打球も内野の頭を超えるようになった。かつて最多安打を記録したバットコントロールは健在で、通算2000本安打達成までは残り101本と大台を視界に捉えている。コンスタントな試合出場ができれば今季中の達成も可能な数字だ。
一方、内川は昨シーズン開幕前の下馬評を覆し見事日本一となったヤクルトで存在感を示すことができなかった。移籍1年目となった昨季はその多くを2軍で過ごし、躍進するチーム中で苦しんだ。
「一塁手か代打の切り札として期待されていた。しかし打撃の調子が上がらなかったので試合出場機会が限られた。チームは外国人選手がハマり、若手選手が伸びたことが優勝につながった。良い流れを変えないためにも内川を無理に起用しなかったのもある。打撃技術に関しては錆び付いていないので今季も期待されている部分はあるはず」(ヤクルト担当記者)
内川は横浜(現DeNA)時代の08年に右打者として史上最高の打率.378をマークして首位打者を獲得。11年には移籍したソフトバンクで打率.338を記録して史上2人目の両リーグ首位打者となり、18年には2000本安打を達成した。球界屈指の好打者としてソフトバンク移籍後も安定したパフォーマンスを見せていたが、18年以降は成績が下降。20年にはファームで打率.327をマークしたものの、プロ入り後初めて1軍出場ゼロとなりチームを退団。同年のシーズンオフにヤクルトに移籍した。
「打撃技術の高さは誰もが認めている。日本シリーズのメンバー入りしたのも打撃に信頼があるからこそ。自主トレにも(打撃技術を教わりたい)若手選手が志願して帯同する。しかし、レギュラーポジションが空いていないので打たないと試合に出られない状況。気持ちに波がある選手なので結果が出ない時に腐ったりして悪影響を及ぼさないことも大事になる」(在京球団編成担当)
ヤクルト1年目の昨季はわずか38試合の1軍出場で打率.208、0本塁打、2打点。オフには去就が微妙な状況となっていたが、1000万円減の4000万円で契約更新となった。期待された役割を果たすことはできなかったが、球団が高く評価していることの表れだ。