14歳のときに当時最年少で出演した「第9回 別府アルゲリッチ音楽祭 若手演奏家コンサート」のステージ(廣津留さん提供)
14歳のときに当時最年少で出演した「第9回 別府アルゲリッチ音楽祭 若手演奏家コンサート」のステージ(廣津留さん提供)

 最初から周りにバイオリン仲間がいたほうがよかったかというと、そうとも言えないなといまは思います。例えば都会に住んでいて仲間がたくさんいたとして、その中での一番を目指していたら目標が低かったかもしれません。世界に出たら実はすごい数のライバルがいるのに、自分のテリトリーの中で満足してしまうというのは危険だし、もったいない。私の場合は、情報がないという環境がかえって功を奏しました。

■塾に通う時間がないから勉強は授業中に吸収

 3歳から高校生くらいまではピアノも習っていて、小学生のときに通っていた音楽教室の発表会ではバイオリンとピアノ両方の出番があったんです。コンクール前は、一日5時間くらいは練習したいですし、どちらの楽器も同じくらい力を入れていたので、子どもながらにすごいタイムマネージメントをしていたなと思います。学校での放課後のドッジボールも、30分は参加するけれど、楽器の練習があるから帰るねという感じ。塾に通う時間もなかったので、勉強はとにかく学校の授業中にすべて吸収するように心がけていました。

 小さいころから「先生の目を見る」ということはしていましたね。目線を外して聞いていると、話がつい右から左へと流れがちですが、先生が話している姿をちゃんと見ていると、内容が直接入ってきやすいという実感がすごくありました。ただ、それは授業に集中するためというよりも、もともとそういうクセがついていたんです。そうしないと学校の先生に失礼だなと思っていて。というのもピアノの先生が、優しい方でしたがマナーには厳しかったんです。教室が先生のご自宅だったこともあり、失礼に当たる行為というのを小さいときに母に教え込まれていました。“しっかりと相手の目を見る”という姿勢が結果的に、一番勉強に役立つ方法になったと思っています。

■落語の長台詞の真似にハマった小学校時代

 小さいころに身に着けたことといえば、音楽を表現する上で、古典芸能に大きな刺激を受けました。親の影響もあって、子どものころから歌舞伎を見るのが好きでした。型を守りながらもそれぞれの個性を出したり、観客を楽しませたりするのってこういうことなのかと、知らず知らずのうちに学ばせてもらっていたように思います。

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