──「テレビで会えない芸人」は鹿児島テレビの四元(よつもと)良隆さん(71年生まれ)と、牧祐樹さん(83年生まれ)の二人が監督されています。話があったとき、どう思われたんですか?

「ドキュメンタリーの話だけはいっぱいあったんですよ。誰それさんに教えてもらってとテレビ局の人が公演を観に来られる。観終わって『いやあ面白かった。だけど、うちのテレビには出せない』と帰られる。だから、鹿児島の楽屋に四元さんが来られて、『出せないテレビがおかしいんです』とおっしゃったとき、言い方がもう真剣で僕、すごく気持ちよかったんです。つい『撮っていいですよ』と言っちゃったけど、テレビでしょう」

──無理だろうと?

「そうそう。だけど、びっくりしたんです。映画にも出てきますが、稽古場の近くの駐車場に車を止める場面、公明党の街宣車の隣に『ブレーキ役として与党にいると言いながら、やたらアクセルを踏んでいる公明党です』って言いながら止めた。どうせカットだろうと。それを流したんです、テレビでも。あれはうれしかったですねえ」

──テレビの賞を4冠制覇して全国放送されると期待したら、午前4時放送だったそうですね。

「知っていたら見たのにと皆言うんだけど。テレビ欄には『ドキュメント』だけ、僕の名前もない。だから映画はいっぱい宣伝して、知らなかったとは言わせないぞって。でも、聞いたらそんな大規模じゃないというから、それは言えないみたいで」

──これを機にテレビから話があると?

「じつは3、4年前にBSの番組に出たんです。ライブにも観に来てくれていた人で、断りきれなくて。そのとき僕ひとりのネタ見せに10人の作家がチェックするんです。『ええー、下々の皆さん、ようこそいらっしゃいました(と演じはじめる)。ああ、わたくしの唇はずっと右肩上がりです。皆さんから見ると右肩下がりですが。だけど、わたしはラベルが違うんだよ。何がおかしいんだよ。僕が誰かわかった? アッ、ソウ』で終わったんです」

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