ちなみに、高校生になったボクは、今考えるとおかしいんだけど「将来は勇者になる」と本気で言っていた。これ、ふざけているつもりなんてまったくなく、本気で。「勇者になって、仲間を引き連れて、ブラジルで砂金をとる」ってね。当時の先生からは「そんな職業はありませんよ」って三者面談で何度も指摘されていた。
相当心配されていたんだろうね。その後も、母親と先生は、ボク抜きで何度か面談を重ねていたみたい。勇者なんかになれるわけないんだけど、当時は本気で思っていたんだよね。漫画の影響がえぐかった…。
そんなボクも大学受験にチャレンジする時期になった。この頃になると、進学するか、就職するか、悩む人もいるだろうけど、ボクは就職なんてまったく考えられなかった。可能性はゼロ%。働きたいなんて思ったことなんて一度もなかったからね。
でも、あいかわらず勉強はまったくしなかったから、高3の受験では全落ち。センター試験も受けたけど、チンプンカンプンだから、もう最終的には鉛筆を転がして、答えを書いていた。運だけで何とかなるだろうって思ったけど、何とかならなかったね。
ここからが、ボクの浪人生活のはじまり。
普通は浪人の時って頑張って勉強するんだろうけど、ボクは違った。浪人中にもかかわらず、こりずにまた勉強しなかったんだよね。予備校にも通っていたけど、タイムカードだけ最初に押して、授業には出ずにサボることはもう日課。1年間のカリキュラムを組まれていたけど、ほとんど行かなかったと思う。
公園で鳩にクルミをあげたり、ゲームセンターやパチンコにいったりして、時間をつぶしていた。そして、夕方になると疲れた顔をして帰宅。もう完全にフェイク生活。おそらく両親にはバレていなかった…とは思う。
そんな生活をしているわけだから、受験に成功するわけもなく、また次の受験にも全落ち。これだけ落ち続けているのに、ボクは両親に対し「申し訳ない」なんて気持ちはまったくなかった。両親は地獄だったと思う。もう、この頃になると、すっかりあきれていたし…。
母親の態度から「次、失敗したらもう浪人はできないな」っていうのを確信したから、ここでやっとボクにも火がついた。これまで受験していた大学を一回全部見直してみたんだよね。そして、4年制の大学よりかは、まだ比較的入りやすいであろう短大まで受験の視野を広げてみた。
結果的には、これがよかった。
運良く、京都の短大に合格することができた。これまでとまったく生活は変えていないから、なぜ合格できたのかは分からない。受験前に、大好きな中国武術の本を読んで集中力を高めたのが良かったのかな(笑)。