■中学生が「お金のこと」で友達を定義する違和感
今回の騒動に関して、私は、最も注視すべきなのは「LINEの既読無視がうんぬん」ではないと思っています。
「お金のことで困っているときに協力してくれないのは友達じゃない」などという旨の発言が、まだ13歳の中学生である少年の口から発せられている点にあるのではないでしょうか。
自分の中学生だったころを想像してみてください。
同級生が、「LINEの既読無視をしたから友達じゃない」と言いだしたら、「まあ、幼いからなぁ」ということで、わかる気もします。
しかし、「誰かのためにボランティアしたいから、そのためのお金が欲しい」「もしあなたが助けてくれなかったら、もう友達じゃない」と言ってきたら、どのように思いますか? なんだか違和感を覚えませんか?
大人になってからは、損得感情で動く人間関係も生まれてきますが、中学生時代にこのような「金銭面」で友人の定義を掲げることは、どこか歪(いびつ)だと感じるのです。
ゆたぼんは、同年代の人間と少しずつコミュニケーションを重ね、人間関係を育てていくという段階をすっ飛ばしすぎていないでしょうか。
彼の発言を聞いていると、あまりにも早い時期から、大人ばかりにもまれすぎているような気がしてなりません。
■学校は勉強をしにいくだけの場所ではない
人間関係に関しては、心理学でもさまざまな研究がなされています。
人との仲を深めるポイントとして特に重要視されるのは、「一緒に長時間いること(接触時間)」「一緒に同じ行動をすること(同期行動)」、そして「相手と信頼関係を築くこと」の三つなのだそうです。
こうした機会を作る場として捉えてみると、学校は、かなりもってこいの場所なのです。
学校に行く目的は、勉強がすべてではありません。
たとえば、私の地元・静岡の、ある小学校では、ディベートをするなど考え方を鍛えることを重視しており、通常の授業が少ないため、勉強面に関しては塾が必要不可欠だと言われています。
つまり、最初から学校を「勉強する場所」として捉えていないのです。
学校は、社会に出るまでのいろんな下準備をするための場所と言えるかもしれません。
そしてその中に、「自分の人間関係について考える場所」という側面もあるのです。