・「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」
1969年に東京大学であった三島由紀夫と東大全共闘との伝説の討論会の様子を軸にした映画。
「三島由紀夫が切れ味鋭く話す姿だけでも観る価値ありですが、議論を吹っ掛ける東大全共闘の学生にも注目を。インターネット上のSNS的な殺伐とした空気がないからこそ、今改めて考えたいテーマが詰まっています」
・「娘は戦場で生まれた」
内戦のシリアで、ジャーナリスト志望の女性が生まれたばかりの子を抱えて、自らカメラを回した映画。
「監督兼主人公の女性がたくましい。死と隣り合わせの中で結婚して子を産み、日常生活を続ける彼女に、生き抜こうとする強い意志を感じる。ホームムービー的な要素もあり、日々を記録する大切さにも気づかされます」
・「華氏119」
2016年11月9日に勝利宣言したトランプ大統領。マイケル・ムーア監督が見たアメリカの政界を描いた映画。
「突撃取材でおなじみのムーア監督が、トランプ政権を誕生させた“病めるアメリカ”を斬るのですが、彼の怒りの本気度を感じました。利権主義、差別、ポピュリズムなど、同じ現象が台頭している日本のことを考えると、笑うに笑えないのですが」
(ライター・吉川明子)
※週刊朝日 2022年2月18日号