古橋亨梧|セルティック

 ヴィッセル神戸から昨夏に加入し、公式戦26試合で16ゴール。国内カップ戦決勝では鮮やかな2ゴールでタイトルをもたらした。「俺たちにはキョウゴがいる!」。世界でもトップクラスの熱狂度を誇るセルティック・パークに詰めかけるサポーターたちは、高らかにチャントを歌い上げる。遠く離れた極東からやってきたアタッカーは、すぐさまファンのアイドルになった。

 しかし、ハムストリングのケガが古橋を苦しめている。前述のカップ戦ファイナルは半ば強行出場であり、続くリーグ戦も離脱者が続出する中での無理な起用だったため、状態が悪化。現在は回復に向かっているようだが、この問題ですでに10試合の欠場を余儀なくされている。

 そしてピッチに立てない間に、セルティックは新たな一歩を踏み出した。ジョタ(7ゴール5アシスト)にリエル・アバダ(9ゴール7アシスト)の両翼は絶好調で、1月に加わった前田大然も早速結果を残している。ターゲットマンタイプであるギオルゴス・ギアクマキスの状態も良い。チームは現在リーグ戦19試合無敗で、順位表のトップに君臨している。「フルハシがいないと勝てない」と揶揄されたような序盤戦の状態ではなく、「もはや止めるのは難しい(レンジャーズOBクリス・ボイド)」ほどに完成へ近づいているのだ。

 彼が今のチームの礎を築いたのは間違いない。前半戦の状態までコンディションを上げることができれば、アンジェ・ポステコグルーのファーストチョイスは古橋だろう。だが、熾烈なポジション争いが待っている。そして、本人の今後のキャリアを考えても、27歳で迎える後半戦は非常に重要になりそうだ。

(文・三上凌平)

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