ともに中京大中京出身でプロ2年目を迎える巨人・中山礼都(左)と中日・高橋宏斗(写真提供・読売ジャイアンツ/中日ドラゴンズ)
ともに中京大中京出身でプロ2年目を迎える巨人・中山礼都(左)と中日・高橋宏斗(写真提供・読売ジャイアンツ/中日ドラゴンズ)

 ともに前年最下位からの優勝を果たしたヤクルトオリックス。その中で想像以上の大活躍を見せたのがヤクルトでは奥川恭伸、オリックスでは宮城大弥、紅林弘太郎の高卒2年目の選手たちだ。

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 奥川と宮城は先発ローテーションの一角として欠かせない存在となり、紅林もショートとして100試合以上にスタメン出場し100安打、10本塁打をクリアしている。彼らの活躍がなければペナントレースの結果も異なっていた可能性は高いだろう。レギュラーを獲得する選手は徐々に段階を踏むのではなく、一気に成績を伸ばすケースも多いが、今回は彼らに続く可能性を秘めた高卒3年目以内のブレイク候補を探ってみたいと思う。

 今年高卒3年目を迎える投手では奥川、宮城以外にも佐々木朗希(ロッテ)、玉村昇吾(広島)、及川雅貴(阪神)が既に一軍の戦力となっているが、それに続く存在として期待したいのが西純矢(阪神)だ。2年目の昨年は5月に一軍初勝利をマーク。二軍では防御率こそ4点台ながらチームトップの投球回を投げ、6勝3敗とまずまずの成績を残している。二軍で85回1/3を投げて49四死球という数字からもコントロールが課題となっているが、今年はテイクバックを少しコンパクトにしたことで、フォームのバランスは明らかに改善しているように見える。ストレートはコンスタントに150キロに迫るスピードがあり、スライダー、フォークの決め球として使える変化球の威力も申し分ない。制球力が向上し、カウントをとる変化球のレベルがアップすれば一気にローテーション入りの可能性も出てくるだろう。

 リリーフタイプで楽しみなのが横山陸人(ロッテ)だ。昨年は5月に一軍昇格を果たすと、初登板から5試合連続無失点を記録。最終的に防御率は4点台となったが、登板した10試合中8試合が自責点0で、イニングを上回る奪三振を記録するなど存在感を示すには十分なピッチングを見せた。そんな横山の最大の武器はサイドスローから投げ込む150キロを超えるストレートだ。高校時代から躍動感のあるフォームが特長だったが、体つきが明らかに大きくなり、それに比例してボールの勢いは格段にアップしている。指にかかった時の高めのストレートはホップするような軌道で、空振りを奪えるのは大きな魅力だ。スライダーとシンカーの精度が上がれば持ち味のストレートはさらに生きてくるはずだ。チームのリリーフ陣は抑えの益田直也を筆頭にベテラン、中堅が多く、勤続疲労も気になるだけに、ブルペンに新たな風を送り込む存在として期待したい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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中日には投打で期待の選手