「いま、ブースターを受けよう」と呼びかける英・ロンドン市内のバス停の広告/2021年12月
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 猛威を振るうオミクロン株。感染対策の切り札としてワクチン追加接種が進められている。そうした中、接種券が届いていても、追加接種を見合わせている人もいる。背景には異なるワクチンを打つことへの不安がある。AERA 2022年2月21日号から。

【データ】ワクチンの種類ごとの副反応の頻度はこちら

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 政府は2月10日、東京都や神奈川県など13都県のまん延防止等重点措置を3月6日まで延長し、新たに高知県を対象に加えることを決めた。

 重症患者のために確保している病床の使用率が9日現在、東京都で42%、神奈川県で40%になるなど、重症患者が増加傾向にある。一因は、高齢者の感染の増加だ。厚生労働省によると、2~8日までの1週間の新規感染者のうち60歳以上が占める割合は14.6%で、前週より2ポイント増えた。

 重症化を防ぐ飲み薬や点滴薬も出ているが、重症化防止の一番の方法はワクチンだ。ただし、2回の接種を完了しても数カ月で効果が減衰するため、追加(ブースター)接種が必要だ。とくに、今、流行しているオミクロン株はワクチンが効きにくいため、追加接種の必要性が高い。

 世界的にみて日本の追加接種は遅れている。内閣府によると、2月10日現在、3回目の接種を受けた人は人口の7.9%に過ぎない。

 Our World in Dataによると、人口100人当たりの追加接種を受けた人数は、発展途上国も含めた世界平均が14.8人なのに対し、日本は7.9人だ。

■会場の予約枠余る

 高齢者施設にいる高齢者は、医療従事者と並んで優先的に追加接種の対象になっている。しかし、全国老人福祉施設協議会などの団体が加盟する高齢者施設に2月3~9日にアンケートを実施したところ、回答した約5800施設のうち、入所者と職員の追加接種をほぼ完了した施設は4割しかなかった。

 理由として、追加接種のワクチンがまだ届いていない(27.1%)、接種券がそろっていない(24.4%)といった点が多く挙げられた。

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