「『市が私立中を誘致している』とも報道されましたが、そうではありません。もともとは東洋学園大と暁星国際学園が、学校同士で跡地の売買について交渉していました。その話がなくなった後、南流山中の移転先として市が跡地を買収したという経緯です。ただ、南流山中の移転に跡地のすべて(のスペース)は必要ありません。2年ほど前に、暁星国際学園の方から、一部について貸してもらえないかという話が来ていたのです。今後、市として有効な利用策を検討していくことになります」(担当者)

 暁星国際学園側は取材に応じなかった。

 近隣住民の反応も冷静な声が目立った。南流山中の周辺で生徒の保護者らに話を聞くと、

「格差っていうなら、すでに住んでいる家やマンション、車だって見た目で差がわかる。中学が隣り合うからといって、それが何?って思います」(40代男性)

「一部の人が反対しているのかなという印象。お金があっていいなとは思いますけど……。私立ができたとしてもそこに通う子どもには何の罪もないことですし、うちの子はうちの子、でいいんじゃないでしょうか」(40代女性)

 その一方で、移転について懸念を示す人も。

「中学が離れた場所に移転するので、住んでいる場所によってはすごく遠くなってしまう人たちがいます。学校が近くにあることも考慮して、物件を選んだ人もいるんですよね。自分の子が遠距離通学になっちゃって、私立の子がもし毎日スクールバスだったりすると、複雑な気持ちにはなるかもしれません」(30代女性)

 署名を求めるチラシでは、移転後の南流山中の規模が適正かどうかや、市が学園に貸し付けることの妥当性など様々な問題を指摘しており、「格差」だけに焦点を当てた活動ではなかった。一方で、その中に「公立学校と私立学校が隣り合うことは、成長過程にある中学生の教育環境としてよくない!」と書かれていた。

 あなたの住んでいる地域で同じことがあったら、どう考えますか。(AERAdot.編集部・國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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