AERA 2022年2月21日号より
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 高齢者施設でのクラスター発生が増え、重症患者が増加している。予防のカギは早期のワクチン追加接種だ。データを分析すると、ファイザー、モデルナどちらでも大差はなく、種類より追加接種が重要だとわかる。AERA 2022年2月21日号から。

【データ】ワクチンの種類ごとの副反応の頻度はこちら

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 英国の健康安全保障庁は2月3日、イングランドの国立予防接種管理システムなどのデータを基に解析した、「リアルワールド」におけるワクチンの効果を公表した。オミクロン株に対する効果はおしなべてデルタ株に対する効果よりも低く、その傾向は、接種から時間が経つほど顕著になった。

 オミクロン株に感染して発症するのを防ぐ効果は、ファイザー製ワクチンの2回接種完了直後には約65%なのが、接種から25週間以上経つと約10%に低下する。一方、モデルナ製は、2回接種完了直後は約75%の効果が同じく約10%に低下する。

 ファイザー製ワクチン2回に加え、さらにファイザー製を追加で接種すると、発症を防ぐ効果は約65%に回復する。モデルナ製を追加接種した場合には、効果は約75%になる。

■重症化防ぐ効果も回復

 逆にモデルナ製ワクチン2回の後にファイザー製を追加接種すると効果は約65%、モデルナ製を追加接種すると効果は約70%になる。

 入院が必要になるほど重症化するのを防ぐ効果は、ファイザー製ワクチン2回接種完了から25週間以上経つと約40%に低下するが、ファイザー製ワクチンの追加接種を受けると約80%に、モデルナ製ワクチンの追加接種を受けると約90%に回復する。

 追加接種がモデルナ製の方がファイザー製より、発症や入院を防ぐ効果が若干、高くなる傾向がみられた。

 副反応はどうか。国内の調査はまだファイザー製についてしかないが、厚労省の研究班によると、接種した部位の腫れや痛みなど局所的な副反応も、発熱や倦怠感、頭痛といった全身の副反応も、2回目接種後と、3回目接種後では発生頻度は変わらなかった。

CDC発表のデータから(AERA 2022年2月21日号より
CDC発表のデータから(AERA 2022年2月21日号より
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