アンジャッシュ渡部建
アンジャッシュ渡部建

 2月15日放送の『白黒アンジャッシュ』(千葉テレビ)にアンジャッシュの渡部建と児嶋一哉が出演した。不倫騒動で芸能活動を自粛していた渡部は、約1年8カ月ぶりにテレビ出演を果たし、この番組から活動を再開することになった。

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 番組では、スーツ姿の2人が騒動について謝罪を述べた後、児嶋が渡部に質問をするような形でトークが展開された。渡部は終始うつむいたまま、神妙な面持ちを貫いていて、番組はお通夜のような重苦しい雰囲気だった。

 渡部の復帰に関しては「復帰してほしい/しないでほしい」「復帰はまだ早い/遅すぎる」など、賛否両論のさまざまな意見が見受けられる。また、彼の今後についても「そのうち元に戻るだろう」という楽観論から「復帰は無理だろう」という悲観論まで、幅広い声がある。

 一般的には、芸能人が不倫をしたからといって、その手口が悪質だったからといって、必ずしも芸能生命を絶たれてしまうとは限らない。そういうことに対する世間の目は年々厳しくなっているとはいえ、事は芸能であり、そもそもアウトかセーフか明確な基準が存在するわけではない。

 すべては一般大衆の作り出す漠然とした「イメージ」や「空気」で決まる。そういう意味では、意外にあっさり復帰できてしまうという可能性もないわけではない。

 ただ、個人的な予想としては、騒動の前にやっていたのと同じような仕事を、同じようなポジションでこなしていくのは相当厳しいのではないかと思う。

 テレビに出るタレントは、誰もが特定のポジションを取っている。ポジションとはテレビ番組における立ち位置のことであり、「キャラ」と言い換えてもいい。底抜けに明るいキャラ、本音を言う毒舌キャラ、何にでも噛みつく怒りキャラなど、芸能界にはさまざまなキャラを持つタレントが存在する。

 そんな中で、騒動前の渡部は「芸人なのにクリーンで紳士的」というポジションを取ってきた。本来、芸人は笑いのためにすべてをさらけ出す覚悟を持っていなければいけないとされている。それが芸人の本流だとしたら、渡部は本流ではない脇道をあえて選んだということになる。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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