晴海埠頭と高層マンション群。2007年
晴海埠頭と高層マンション群。2007年

 ライトアップされた東京タワーやレインボーブリッジも望めるほか、4年前に開業した豊洲市場の夜景も見逃せないという。

「観光用ではなく、仕事をしている明かりが煌々(こうこう)とついていて、これがまたきれいなんですよ。さらに市場の手前に見える晴海運河と豊洲大橋の照明が花を添えている」(吉田さん)

■新ターミナルは2023年度供用開始予定だったが

 しかし、ターミナル自体は開業から30年あまりが経過し、多目的につくられた施設の老朽化が進み、それにともなう維持管理コストがかなりかさむようになってきた。

「修繕を繰り返しながら使い続けるのではなく、ターミナルを解体して、新たにコンパクトで簡易な施設に整備し直すことになりました」

 東京都港湾局港湾経営部で客船誘致を担当する大塚昌俊課長は、今回の閉鎖の理由を、こう説明する。

 その背景には東京港全体でのクルーズ客船受け入れ体制という、大きな枠組みがある。

「近年、客船の大型化が進み、レインボーブリッジを通過する船舶の高さ制限(52メートル)で晴海ふ頭に入れない客船が増えてきました。そこで、レインボーブリッジの外側の江東区青海に2020年9月、大きなクルーズ船を受け入れる施設『東京国際クルーズターミナル』をオープンしました」(大塚さん)

南極へ向けて晴海ふ頭を出港した南極観測船「しらせ」。奥は東京五輪に向けて建設が進む選手村。2019年
南極へ向けて晴海ふ頭を出港した南極観測船「しらせ」。奥は東京五輪に向けて建設が進む選手村。2019年

 現在、東京国際クルーズターミナルには客船バースが1つしかないが、将来的には第2バースを整備するという。

「それまでの間、晴海ふ頭も使用することで、東京港全体として客船の2バース体制を維持していく。ただ、現在の晴海客船ターミナルをそのまま使い続けていくには無理があるので、解体してつくり直す、という計画です」(大塚さん)

 本来であれば、ターミナル内で2月20日まで、施設の歴史を振り返る展示が予定されていたが、新型コロナの影響で全館が閉鎖。ひっそりと約30年の歴史を終えることになった。

 当初の都の計画では、新しいターミナルは2023年度から供用開始予定だったが、現在、新たなスケジュールを調整中という。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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