相部屋に空きがないというのは上記の(3)に当てはまると考える場合もありますが、実際には差額ベッド代を支払うことになるケースが多いようです。

 倉敷中央病院の山形専医師はこう話します。

「相部屋が明日には空く、というような場合には、1泊くらいなら個室の差額ベッド代を支払わなくてもいいという病院もあるかもしれません。しかしながら、やはり基本的に、個室に入った場合には差額ベッド代は必要になる病院が多いでしょう」

 また、厚生労働書でも「設備や料金などについて、明確かつ懇切丁寧な説明をし、その上で、患者の同意があれば、差額ベッド代を徴収することは差し支えない」としています。

■差額ベッド代が医療費控除の対象となることも

 希望しないのに病院側の事情で個室に入らざるをえなくなったときには、自分の希望ではないこと、空き次第相部屋に移してもらいたいことを述べて、できれば同意書などに補足で記入してもらうといいでしょう。

 また、病院側の事情で個室に入った場合、差額ベッド代が医療費控除の対象となることがあります。申告の際に税務署などで申し出てみましょう。

 最近は民間の医療保険で、差額ベッドの費用を補償する内容のものもあるようです。入院給付金や手術給付金を差額ベッド代に充てる人も増えているといいます。

 個室しか空いていない状況でも、「どうしても差額ベッド代は払いたくない」という人もいるでしょう。

 差額ベッド代のかかる個室には入院したくないという患者には、相部屋の空いている病院への転院をすすめる病院もあるようです。もちろん治療の緊急性を考慮して可能であると判断されれば、です。

■差額ベッド代のかかる4人部屋も!

 ちなみに、差額ベッド代が必要になるのは、「個室」だけではありません。

 厚生労働省は、差額ベッド代が必要になる個室の条件として、次の4点を挙げています。

(1)病室の病床数が4床以下

(2)面積は1人当たり6.4平方メートル以上

(3)病床ごとにプライバシー確保のための設備を備えている

(4)最低でも個人用の収納設備や照明、小机、椅子を備えている

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