※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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病院には他の患者と同じ部屋に入院する「相部屋」と、別途追加の費用を支払って入院する「個室」があります。個室を希望する理由は、「プライバシーを保ちたい」「気兼ねすることなしに治療に専念したい」「看病してくれる家族にくつろいでほしい」など、人によってさまざまです。では、相部屋が空いていないからなどの病院側の都合で個室に入院した場合、費用はどうなるのでしょうか? 気になる病院のお金事情を取材しました。

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 個室に入院する場合にかかる“差額ベッド代”は、正式には「特別療養環境室料」、差額ベッド代のかかる部屋は「特別療養環境室」といいます。

 差額ベッド代は「保険適用外」のため、全額自己負担となります。また、医療費控除や高額療養費制度の対象にもなりません。

 病院によって金額設定は異なり、1日当たり数千円のところもあれば、10万円以上の個室を用意する病院もあります。

 予定していた入院では、治療計画とともに、「相部屋/個室」の希望も含めてスケジュールが決められるため、望む部屋に入れることがほとんどです。

 しかし急な入院の場合は、事情が異なります。相部屋を希望しても空いていない、という状況もありえます。

 このような、病院側の都合で仕方なく個室に入る場合でも、差額ベッド代は支払わなければならないのでしょうか。

■基本的に、個室に入ったら差額ベッド代は必要

 差額ベッド代がかかる個室に入院する場合、事前に同意書にサインをすることが前提になります。厚生労働省の通知によると、差額ベッド代を支払う必要がないのは、次のようなケースとされています。

(1)病院が用意した同意書に不備があったり(室料の記載がないなど)、患者のサインがない場合

(2)救急患者や終末期患者などで、集中的な治療や特別な治療・安静が必要な状況により、患者本人の「治療上の必要」がある場合

(3)病棟管理上、差額ベッド代のかかる部屋への入院が必要な場合(感染性の患者など)

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