羽生結弦は「自分のスケート人生のいろいろなものを込めた」という演技で会場を魅了した
羽生結弦は「自分のスケート人生のいろいろなものを込めた」という演技で会場を魅了した
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 北京五輪のフィギュアスケート・エキシビションの主役は、やはり羽生結弦だった。華麗な演技を披露するとともに、仲間たちと交流しながら会場を盛り上げた。AERA 2022年3月7日号の記事を紹介する。

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 北京冬季五輪最終日の2月20日、フィギュアスケートのエキシビションが行われた。メダリストや選ばれた選手だけが滑る「ご褒美」の場だ。日本からは、男子銀メダリストの鍵山優真(18)、男子銅メダリストの宇野昌磨(24)、女子銅メダリストの坂本花織(21)のほか、羽生結弦(27)、樋口新葉(ひぐちわかば・21)の計5人が参加した。

 最も注目を集めたのは、クワッドアクセル(4回転半)に挑み歴史を刻んだ羽生だった。中国では地元選手をしのぐ人気ぶりで、登場とともに声援が起きた。

「春よ、来い」を選曲。ピアノの音色と一体になり、幻想的な世界を滑り抜いた。冒頭で高さのあるトリプルアクセル(3回転半)を決め、低い姿勢で滑るハイドロブレーディングでは氷に口づけするシーンも。そしてディレイドアクセル(1回転半)は、空中に美しい残像が残るようなダイナミックな飛躍だった。演技を終えると「ありがとうございました!」と叫んだ。

「今日は全ての幸せを演技に込めて、自分のスケート人生のいろいろなものを込めて、表現できたと思います。皆さんにこうして見ていただけるからこそ、僕は滑ってこられたし、僕の演技に何かしらの意味が生まれる。皆さんに感謝したいです」

 改めて今大会を振り返る。

「皆さんの記憶の中にある羽生結弦は(2014年)ソチや(18年)平昌で成功している自分が多いかもしれないですけれど、僕はここまで競技を続けるにあたって、どん底を何回も見てきました。また今回大人になって、人生って報われることがすべてじゃないんだなあと。報われなかった今は今で、幸せだなと思いました」

 回復が心配される足首については、こう話した。

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