
新築マンション価格は全国平均で初の5千万円超え、過去最高となった。ウクライナ情勢の悪化、原油高など景気不安が増し、今後も上昇するのか。買い替えが容易ではないマンションの失敗しない購入術とは?
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最近のマンションの購入者は、資産価値を強く意識して選ぶ傾向があるという。
「将来、値段が上がるとか、高く貸せるとか、儲かる物件を探す人が多いです」
こう話すのは、住宅ジャーナリストの櫻井幸雄さん。少子化の影響でいずれ夫婦どちらかの実家が手に入るため、マンションを終のすみかと考える人が少なくなってきているという。
「マンションの資産価値は立地で決まる」と話すのは、不動産ジャーナリストの榊淳司さん。榊さんも、櫻井さんも、立地の重要性を強調する。
たとえば、東京都世田谷区で築年数や平米数などが同じようなマンションでも、駅近なら1億円以上するものの、駅からバスで10分かかると5千万円近くに下がり、2倍以上も差が出ると櫻井さんは言う。
中古マンションを探す場合、インターネットの物件紹介サイトで検索する人がほとんどだ。榊さんは、多くの人が最寄り駅から「徒歩10分以内」でしか探していないと指摘する。
「たまに徒歩15分以内で探す人もいますが、それは例外。徒歩11分以上は存在しないのと同じです。理想的なのは徒歩5分以内のマンションです」(榊さん)
最寄り駅はどこでもいいわけでなく、誰もが知っている有名な路線や駅のほうが資産価値は高いと榊さんは言う。
東京都中央区晴海の東京五輪・パラリンピックの選手村だった物件が改装されて「晴海フラッグ」と呼ばれる分譲マンションになった。都心に近く、話題性もあり、人気物件となっている。だが、ホームページの第1期2次予告物件概要を見ると、棟により最寄りの都営大江戸線勝どき駅から徒歩17~21分もかかる。
「十数年もすれば、東京五輪の記憶も薄れる。徒歩10分以内の駅近でないため、中古物件の検索対象に入らない恐れがあります」(同)