マンション管理を見るうえで、土屋さんは駐車場の問題も指摘する。昔は駐車場に空きがないこともあった。しかし最近は若い人を中心に自動車離れが進んでいるため、空いていることが多くなっているという。管理組合が「駐車場の収入に頼って運営しているところもあります」(同)。駐車場の収入が減れば、管理組合の運営が赤字になることもあるという。特に機械式駐車場だと整備費用も必要になる。

 マンションの駐車場には、機械式のほか自走式がある。いずれの場合も駐車可能な自動車の規格制限に気を付けたい。機械式や自走式の場合でも、地面に駐車するだけの場合を除き、大型スーパーや量販店のような多層式の駐車場だと、自動車の重量や大きさの規格制限がある。制限重量について、土屋さんは「圧倒的に2トンまでのものが多い」と話す。

 トヨタ自動車のランドクルーザーはモデルにもよるが2.5トン前後。最近は大型の車が増えており、「好みの車を買えなくなるかもしれない」と土屋さんは注意を促す。

 マンションに特有の長期修繕計画も見落とせない。中古マンションの場合、最新の計画をチェックしよう。築年数の古い中古マンションの場合、竣工当初の計画を見直していないこともあるという。必要な修繕だけでなく、工事費用を見直しているかも重要となる。

 東京五輪・パラリンピックや、東日本大震災後の東北地方の復興特需、消費増税での駆け込み需要などで、建築資材や人件費は高騰し、その後も高止まっている。長期修繕計画が古いままだと、費用面で実現できないものになっている可能性があるという。

 都心部のマンションが高騰するなかで、郊外の中古マンションの価格はそれほど上がっていない。櫻井さんは「キャッシュがあれば郊外の中古をうまく買える」と話す。一方で、軽量鉄骨造りの中古マンションは、外観はピカピカでも、金融機関が残存価値を評価すると30~40年までとなることもある。そうした物件で年数を経ていると、ローンが組みにくくなるので注意が必要だ。

 最後に、初めてマンションに住む人に対して「遮音性に過剰に期待しないでほしい」と土屋さんはアドバイスする。最近は在宅勤務が増え、マンションでの騒音相談が急増しているという。

「音が気になる人は静かなところに建っているマンションを買うと失敗しやすい。ある程度、喧騒のある立地のマンションのほうが、音が気になりにくい」と土屋さんは話している。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2022年3月11日号

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