
林:それが大阪の人のたしなみなんですね。
鶴瓶:たしなみですね。それと、身構えがあるんでしょうね、僕は。
林:言ってもかまわないという。
鶴瓶:そう。「西郷どん」のときも、おもしろいホン(脚本)やなと思ってやってたんやけど、大阪のおばちゃんに「あんなんちゃう(違う)で、岩倉具視」って言われて、「見たことあるんか」って(笑)。
林:中園ミホさんがお芝居か何かを見に行ったときに、鶴瓶さんに会って「岩倉具視、見ぃ~つけた」って言ったんですよね。
鶴瓶:何のことかわからんから、「何のことですか」言うたら、「今度、NHKの大河で西郷隆盛をやるので」いう話になって。
林:中園さんが歴史家の磯田道史さんに「岩倉具視ってどういう人ですか?」って聞いたら、「目が笑ってない人です」と言ったんでしょう?
中園:鶴瓶さんの1回目の放送のときに、磯田先生から電話かかってきて、「あれが岩倉具視です」っておっしゃったんです。
林:ほーお、歴史家が言うんだからそうなんですよね。
中園:でも、磯田先生も会ったことないわけだから(笑)。
鶴瓶:ええ加減な人や(笑)。でも、ありがたいですね。やったあとにわかります、ええもん出してもろたなって。
林:狡猾さだけじゃなくて、お公家さんの品位がちゃんとありましたよ。さすが中園ミホさん。
鶴瓶:前に僕がつくった落語(「山名屋浦里」)が歌舞伎になったんです。そのときに中園さんから電話かかってきて、「それ、映画かドラマにしません?」って言われたんです。
中園:いまもそれはあきらめてないです。
鶴瓶:タモリさんが「ブラタモリ」で聞いてきた話を僕に話して、それをもとに僕が落語にして(中村)勘九郎の前でしゃべったら、「それ、歌舞伎にさせてください」言うて、それで歌舞伎になったんです。
中園:勘九郎さんと七之助さんが演じて素晴らしかったんです。
鶴瓶:僕、勘三郎さんと仲よかったから、その流れでずっと来てるんですよね。
(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)
笑福亭鶴瓶(しょうふくてい・つるべ)/1951年、大阪府生まれ。72年、大学を中退し、六代目笑福亭松鶴に入門。関西で活動後、東京に進出。数多くのバラエティー番組で活躍するほか、俳優としても人気を博す。レギュラー番組に「ザ!世界仰天ニュース」「鶴瓶の家族に乾杯」など、過去の出演作に映画「ディア・ドクター」「閉鎖病棟」など。第43回日本アカデミー賞優秀主演男優賞など受賞多数。出演ドラマ「しずかちゃんとパパ」(NHK BSプレミアム・BS4K)は3月13日から放送予定。
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※週刊朝日 2022年3月11日号より抜粋